うつ病を生きるみなさんへ:心理学の立場から見たうつ病
うつ病は“病気”?20代から40代前半の普通のうつ病
20代から40代前半は社会の中での自分の位置づけの変わり目です。
学生時代,若手時代は
何らかの形で大人に護られていました。
しかし,いづれは経済的にも,社会的にも,立場的にも独り立ちが必要です。
社会の中で立場や地位を獲得しなければなりません。
若い時は将来性はあるものの,コネも経験も実績もない。
思い通りにことが進まないのです。
その中で
「自分はこのポジションを与えてもらえるだろうか?」
「自分はこの役割で通用するだろうか?」
「自分がうまく機能できるまで,見限られずに手助けしてもらえるだろうか?」
「見捨てられないで,導いてもらえるだろうか?」
と不安になりやすい。
不安になりながら,
自分と自分を取り巻く大人たちを見ることになる。
そうすると,
自分にできること,できないこと,
周りが評価してくれること,してくれないこと,
お膳立てがもらえること,もらえないこと,
などの,現実が目に入りやすい。
現実が目に入ると,ヒトはどうなるのか?
実はヒトはびっくりするくらい現実を正しく見ない生き物なのです。
このことの詳しくは次回のエントリーで!
うつ病は“病気”?【normal depression(普通のうつ病)】 - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
【一日一分:うつ病の真相と治し方講座】うつ病の正体はかなりわかっています。 - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
うつ病は「一分で治したい!!」「でも治らない…」が長引かせる
うつ病は慢性的な心労にさらされる中で,脳(無意識)が心労を何とかしようとがんばって柔軟性を失うことで,苦しくなる考え方や抑うつ気分が止めどなくあふれだす状態です。
抑うつ気分は単なる心の問題ではなく,生理学的な「痛み」を持っています。
この苦しさは,経験がない人には想像できないことも多いようです。
あまりにも苦しいので「一分で治したい!!」と願ってしまいます。
この願いは人としてはごく自然なものです。
「痛み」は取り除こうとするように私たちは創られているのですから。
ただ,複雑なメカニズムを持つ「うつ病」ですから,簡単には抜けだせません。
そのため,「治したい願い」と「治りにくい現実」のギャップが新しい心労になることが多いのです。
「うつ病」のメカニズムはほぼわかっています。
このギャップを新しい心労にしたり,「治らない」と絶望するのはやめましょう。
心が壊れたわけでも,狂ったわけでもないのですから。
心と脳のメカニズムを整えれば,きっとうまくいきます。
【一日一分:うつ病の真相と治し方講座】うつ病の正体はかなりわかっています。 - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
【一日一分:うつ病の真相と治し方講座】うつ病の正体はかなりわかっています。
「うつ病」は病気以上に苦しい状態です。そのため多くのケアが必要です。
慢性的な心労への正常な心と脳の反応の一つで,進化心理学的には適応的な意味もあるようです。
ですが,苦しさは未経験者の想像を絶するほどです。
重たい病気と同じように,周囲の理解と本人の心がけによるケアが本当に必要なのです。
複雑なメカニズムで維持されているので,どの治し方が良いかはケースバイケースです。
性格や環境によって,方法の向き不向きもあります。
これが「うつ病」を長引かせる一因でもあります。
ですが,メカニズムはかなり解明されています。
現代科学はすごいのです。
正しく理解できれば,あなた向きの治し方がきっと見つかります。
それを信じて下さい。
苦しいので早く治したいと思いますが,まずはあなた向きの治し方があることを信じて下さい。
うつ病は「一分で治したい!!」「でも治らない…」が長引かせる - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
若者のうつ,中年のうつ
先日,若い人のうつと中年のうつの違いについて大学院生に話しました。
どちらのうつも,ヒトの心の正常な発達段階で生じるうつです。
いわゆるNormal Depression(普通のうつ病)とでも呼ぶべきものです。
うつ病は“病気”?【normal depression(普通のうつ病)】 - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
ただ,その苦悩の中身は20歳前後の若い人と,40-50くらいの中年期では全然違います。
一言で言うと,
何か守るべきものを背負っている人と,
これから背負うべきものを獲得しようとする人の,
気分的な違いです。
神話なんかにも,この違いがいろんな形で表現されています。
特に,竜退治の神話などに。先が見えない混沌とした現代社会。神話から心の問題を考えるのもいいかもしれませんね。
うつ病は“病気”?【normal depression(普通のうつ病)】
【normal depression(普通のうつ病)】
これは本気でうつ病の方を全力でサポートしようとした高名な精神医学者の言葉です。
普通のうつ病,と聞くとほとんどの人は,
「病気が“普通”って,なんやねん?」
となると思います。
ですが,私たちは本当に普通にくらしているだけで,
うつ病と同じ心のメカニズムが働き始めるんです。
言い換えれば,
うつ病の何割かは,
普通の暮らしの,
普通のストレスに,
脳が普通に反応しているだけ,
です。
問題はこれが苦しいことなのです。
特に20代から40代前半では,
この世の自分の居場所を探す・作る中で,
普通のうつ病になる方が多いようです。
居場所や社会的ステータスも含めて「自分」です。
自分が見つかるまでは苦しくて当然ですよね。
うつ病は手前の状態でも相当しんどいです。
それをサポートするのが心理療法の仕事です。
若者のうつ,中年のうつ - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
うつ病は“病気”?20代から40代前半の普通のうつ病 - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
うつ病は「一分で治したい!!」「でも治らない…」が長引かせる - 心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ
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