本田圭佑のチーム批判とマーケティング心理学

ご覧頂いてありがとうございます。杉山です。

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心理学の視点からサッカー(footboll)ニュースを観ると、まさに組織心理学とキャリア学の最強テキストです。
もちろん、最良テキストではありません。絶対にやってはいけない最悪テキストも満載ですが、いずれにしても最強テキストとして使える教材であることは間違いないでしょう。

 

本田圭佑選手のチーム批判は正論?
さて、サッカー界ではAC.ミランセリエA:イタリア)の本田圭佑選手がチームの経営陣や監督を批判したと話題になっています。日本では「正論」や「正義」と報じられていますが、イタリアではチームが規律違反で罰金を科すと報じられています。

 

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結論から言えば、イタリアの報道がまさに「正論」でしょう。外部に対して自分の組織を中傷する行為は組織の崩壊を招きます。本田選手を高く評価している元日本代表監督のザッケローニ氏もこの点は批判しています。

しかし、批判の中身はまさに機能しない組織の核心をついています。こういう組織に身をおいて苛立ちを募らせた経験のある方なら、おもわず「あるある!」と言いたくなることでしょう。本田選手の批判には機能しない組織再建のヒントもありますので、心理学的に考えてみましょう。

<b>本田選手の5つの主張</b>
私なりのまとめですが本田選手のチーム批判は以下の5項に集約できると思います。

・監督の選手批判はナンセンス
・大金を投じて選手をかき集めても、組織構造がないからすべて無駄
・目先の勝ち負けに反応するだけのサポーターもマスコミもチームをダメにする
・この問題に誰も気付いていない
・自分を起用しないのは理解不能

私の評価ですが、下の2項目は言わなかったほうが良かったです。自分の価値を確認する意味はあったかもしれませんが、組織再建には無意味です。愚痴のようなものです。身近な誰かにこっそり語ればよかったですね。
しかし、上の3項は正論です。

<b>リーダーシップを放棄した監督も罰金相当?</b>
まず、監督の選手批判はあってはなりません。組織内で個々人のパフォーマンスを問うのは必要なことですが、外に対して組織の成果に全責任を持つのが監督であり、リーダーです。役割を放棄しているわけですから、本田選手に罰金を科すなら監督も規律違反で罰金相当でしょう。リーダーシップに欠ける人物にチームを任せて機能するはずがありません。

<b>組織が機能する7つの条件</b>
組織構造への指摘も重要です。拙著『入門!産業社会心理学北樹出版)』から機能する組織の7つの条件をご紹介しましょう。
目的は達成すべき課題、目標は目的に至るスモールステップとして観てください。

1 共通の目的を持つ
2 目的と目標が一致している
3 目標に向けた相互の努力の認知
4 目標に向けた互助の認知
5 役割分担の相互理解
6 振る舞い方の一定の基準の共有
7 集団自己同一視

まずは組織内に目的を共有させることが必要です。経営者、具体的にはベルルスコーニ氏とガッリアーニ氏の役割はこれです。しかし、監督が役割放棄するくらいですから、ここから機能していないのは明らかです。
監督がコロコロ変わる、問題児として放出した選手が放出先で持て余されたら再加入させる、など目的と目標の整合性もありません。そこから先の条件も崩壊しているのでしょうね。

<b>サポーター、マスコミを誘導する話題作りを</b>
サポーター、マスコミへの批判は、うまく誘導できない経営者への批判として展開していればもっと良かったでしょう。本田選手の言い方では下手をすると暴論と言われかねませんが、経営陣の話題作りマーケティング戦略はとても拙く見えます。

チームは再建中で勝てないわけですから、勝敗以外の見どころや面白さを提供しなければ批判されるのは当たり前です。例え負けても「ここを見てくれ!楽しんでくれ!」と導くマーケティングが必要なのですが、それができていない。

たとえば、チーム再建中を積極的にアピールして『凋落した名門チームの再建ドラマ』として積極的に売りだすのです。再建シナリオを公表して、シナリオ通りにすすめるかの冒険を売りにしてもいいですし、いっそシナリオ作りそのものをイベント化してサポーターやマスコミを巻き込んで話題を作るのもいいでしょう。いずれにしても、勝敗以外話題作りができていないのですから、勝てない名門チームは批判されるしかないわけです。

<b>話題作りの極意はABXモデルで考えよう</b>
サッカーのように「見せてなんぼ」の商売は話題作りが肝要です。ですが、経営者が導きたい話題とユーザーが注目する話題はズレやすいものです。立場が違うので当然です。この違いを乗り越えて良い話題を設定するヒントになるのが社会心理学のABXモデルです。
拙著、『読むだけで人づきあいが上手くなる(サンマーク出版)』では、豊富な実例と専門用語を使わない解説で、このモデルの使いこなし方をわかりやすく解説しています。
話題作りに苦労しているみなさん、ぜひ参考にしてみなさんのビジネスや人間関係の発展にお役立てください。



 

最新著書

 

sugys-lab.hatenablog.com

 

あらゆる人間関係のお悩みを解消する心理学の決定版『読むだけで人づきあいが上手くなる』サンマーク出版</a>

↑上手なABX運用のわかりやすい解説書。実例が豊富です。

 

家庭を持つ女性のみなさまへ,夫婦関係と子育ての心理学的お悩み解説【mocosuku woman提供】

ご覧頂いてありがとうございます。杉山です。

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yahooニュースで家庭を持つ女性の皆様に反響のあった記事をまとめてみました。

良かったら配信元のmocosuku womanサイトでご覧ください。

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『読むだけで人づきあいが上手くなる』サンマーク出版、心理学者仲間に好評です

心理学者仲間の雨宮先生にほめてもらいました。

許可をもらって転載します。

 

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「読むだけで人づきあいが上手くなる」今日届きました!この手の本は今までもっていなかったのですが(人付き合いが上手いわけではなく、単にどのくらい信用できるかが謎だったので・・・)、「杉山先生の著作なら間違いない!」と予約購入。大変面白いですし、すぐ実践できそうなノウハウも満載です。ご自身が序論で「人付き合いが苦手だった著者が…」と書かれていますが、今の先生からは想像もつきません…。この本の実践のおかげだとしたらすごい威力ですd(・・

 というわけで、おすすめの本です~(^^

 

妻に熟年離婚をされて悔しい思いをしないために‐熟年離婚される夫、されない夫‐妻づきあいの経営術

 

 長年連れ添った妻が、当たり前のように一緒にいてくれた妻が、自分を理解してくれていると思っていた妻が、ある日、突然あなたに「離婚届に判をくれ」と突きつける…。

 こんな悔しい思いをする中高年男性が増えています。

 「人づきあい」ならぬ「妻づきあい」に失敗があったのでしょうね。

 気づかないうちに、「下手な妻づきあい」をしていたのかもしれません。

 

 こんな不幸を誰にも経験してほしくないので、人間関係が上手くなる秘訣を本にしてみました。

Amazon.co.jp: 読むだけで、人づきあいが上手くなる。: 杉山 崇: 本

 怪しげなタイトルですが(笑)、中身は心理学者仲間からも好評です。 

  

sugys-lab.hatenablog.com

 

 今回は、熟年離婚に焦点を当てて、人づきあい、いえ妻づきあいのポイントをご紹介しましょう。

 

 まず、熟年離婚はドラマの話ではありません。

 実はこの40年で20代、30代の若い世代の離婚率は30%弱減少している一方で、60代夫婦の離婚率は2倍強に増えています。

 とはいえ、60代離婚率は5%ですので、「あの人も、この人も…」という状況ではありません。しかし、あなたに20人知り合いがいれば1人は熟年離婚を経験するという計算になります。

 

 そして熟年離婚のほとんどは、妻から切り出しています。タイミングは夫が定年退職して退職金が入って間もなくということが多いようです。もちろん、退職金が入る前に離婚しても退職金の分与は求められるわけですが、何かと手続きや交渉がややこしいので退職後の数年以内に離婚が集中するようです。

 ご主人は「まさか、うちの家内に限って…」と油断していた方がほとんどです。ご主人はいったい何を間違ってしまったのでしょうか。

 

 実は人間関係は3角形で考えることができます。社会心理学ではABXモデルと呼ばれる考え方です。熟年離婚で説明すると、Aがご主人、Bが奥さま、Xは共通の関心ごとです。Xに対して、AとBの態度が一致していると関係は良好です。

 たとえば、Xがお孫さんなら、「孫かわいいねえ!!」と一緒に盛り上がれれば関係は良好になるわけです。同じく、Xがめんどくさいご近所づきあいなら、「○○さんとからむの本当に疲れるねえ…」と負担感を共有できる場合も関係は良好です。

 このように態度を共有できるXがたくさんあれば夫婦関係は良好です。60代ご夫婦であっても、二人の5年後、10年後という未来につながるようなXがあるとさらに関係は良好になるでしょう。

 

 一方で熟年離婚に至るご夫婦の多くは、ご主人が興味を持っているXと、奥様が興味を持っているXがずれていることが多いようです。そして、ご主人の多くは自分のXへの態度を妻が共有してくれていると思い込んでいることが多いようです。ご主人の頭の中だけで「良好なABX」という幻想が成立していたのですね。この場合は、奥さまは自分のXを共有してくれる他の誰かを求めていきます。

 こうして、離婚の理由としては

「価値観が合わない(Xがずれているから当たり前)」、

「他に好きな人ができた(Xを共有してくれる人に惹かれるのも当たり前)」、

「性格の不一致(これもXがずれているから当たり前)」、

「会話がない(Xがずれると会話が気まずくなる)」、

「主人のモラハラ(ご主人のXへの態度を押し付ける)」、

 

となるわけです。

 

 「妻に裏切られた!」と悔しい思いをする前に、できることはあるはずです。高齢男性の独り身は何となくみじめで寂しく、そして寿命も短くなりやすいと言われています。

 「長年連れ添ったから…」と油断せずに、日ごろから奥さまの関心ごと「X」を理解して、良好なABXをキープできる家族経営を心がけましょう。できる男は仕事だけではなく、家族経営もうまいものなのです。

  日々仕事に追われていますが、わたしもがんばっています!!!

うつ病と幸せの真実と対策-感情と人間関係の認知行動療法-

10月に名古屋の中日文化センター栄校さまで「うつ病の心理科学的な真実」を紹介する講座を開くことになりました。

心理科学から「うつ病」を見ると、よく医学の視点から発信されている「うつ病」とは異なるものが見えてきます。

 

うつ病」を研究して20数年ですが、その間に私自身も患いました。

 

20年前、日々、うつ病の患者さんのお気持ちを全力で考えていたら、いつの間にか引っ張り込まれてしまいました…。

当時、医療関連の現場で働いていたので、意地で絶対に受診はしませんでしたが、診断基準はほとんど満たしていました。

辛かったですが、この経験が私の心理療法と社会心理学そして記憶心理学の研究にすごく活きています。

人生いろいろ、「うつ病」もいろいろ…ですが、うつ病にならないと見られない世界があることも知りました。この世界だけは「うつ病」の人ならみんなが見ている共通点でしょう。

その世界は決して病的なありえない異世界ではなくて、この世界のもう一つの真実です。

真実を見ることはつらくて恐ろしいことですが、うつ病になると見えちゃうんですよね…。

ご一緒に「うつ病」の真実を手掛かりに「幸せ」について考えてみませんか?

講座では、受講者のみなさまと語り合う時間も大事にしたいと思っています。

 

日程などは、下のページから見ていただけると幸いです。

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内容は以下の通りです。

1. 心には『うつ病アプリ』が備わっている
2. 若い人の『普通』のうつ病
3. メランコリックなうつ病
4. 女性特有のうつ病
5. 新型うつ病とパーソナリティ
6. 日本人とうつ病

 

 

人づきあいは気まずくて当たり前:気まずさを消す絶対法則シリーズ2

「気まずい」人とは、もう会わない
ところで人づきあいでで「気まずさ」を感じた時、実際のところあなたはどうするでしょうか?何を思い、どう振る舞うでしょうか?

相手があなたにとってどうでもいい人(表現は悪いですが、たとえとして)の場合は、もうその相手と会いたいと思わないでしょう。
だって、どうでもいい人なのですから。そもそも会うことに生産性はありませんよね。さらに、会っていても気持ち良くない。まったくもって無意味ですよね。
「もう、この人とアポ入れるのはやめよう」「なるべく関わらないようにしよう」と、今後のお付き合いはない…という方向に傾くでしょう。

「気まずさ」はお近づきになりたいあの人を遠ざける
一方、あなたがお近づきになりたい、今後関係を発展させたい…と願っている相手ならどうでしょうか。
たとえば、あなたを素敵な気分にさせてくれる異性、もしかしたら重要なロマンティックパートナーになるかもしれない異性、そんな人と「気まずさ」を感じたらいかがでしょうか。

あるいは、あなたの重要な顧客になるかもしれない、あなたのビジネスを発展させる大きな出会いになるかもしれない…。そんな相手との間に気まずさを感じたら、どうですか?

多くの人はここで「やばい」と感じるようです。素敵な関係を築けるチャンス、あなたのビジネスが発展するかもしれないチャンス、それを逃すことになるわけです。
嫌ですよね。チャンスを逃すのは。チャンスを逃さないために手を打たなければなりません。

ですが、ほとんどの人はここで焦ります。
なぜなら、あなたが「気まずさ」を感じているということは、おおむね向こうも感じているからです。ということは、相手があなたとの関係が生産的だという魅力を強く感じていない限り、今後のお付き合いはない…というカテゴリーに格下げされたかもしれないからです。

「格下げ」されて狼狽えて…
「 自分が格下げされたかもしれない」…という状況は人のネガティブな感情を刺激します。そして、手立てがない…となるとあなたを狼狽えさせるのです。
こうなるともう最悪です。狼狽えるあまり、「気まずさ」ますます拡大することしかできなくなるのです。相手が興味ない無意味おしゃべりで場をつなぐ…、言葉を失ってさらに気まずい沈黙が続く…、相手の表情が明らかに「心ここにあらず」状態…。
どのパターンもチャンスを逃すことになるでしょう。

そう、「気まずさ」がきっかけになって、チャンスが手元から逃げ落ちるのです。こんなのは嫌です。なにかいい処方箋はないでしょうか。

「気まずさ」の消し方を知ればいい!
答えは簡単です。「気まずさ」の消し方を知っていればいいのです。
そもそも、「気まずさ」は人間関係に付きものです。新しい関係ならお互いにお互いを探り会わなければならないので、なお更です。なので、少々の「気まずさ」は、本来は気にする必要はないのです。

 まずは
“人づきあいは少々の「気まずさ」があって当たり前…”
と覚えておいてください。
当たり前のようにあるものですから、ちょっとしたコツで当たり前のように消すことができます。
Part3ではそのコツを理論化した社会心理学モデルをご紹介します。