瞬説!SMAP騒動と新旧ビジネスモデル葛藤への対策
あるアイドルグループの解散騒動が話題になりました。
あまりに話題になっているので、私のようなアイドル事情に疎い中年男性のみなさんも目にしたのではないでしょうか。
そしてニュースから見えてきたのは、企業戦略としてはあまりに不可解な内輪の諍いでした。
昨年の大塚家具騒動を思い出すようでした。
このような企業内の諍い騒ぎは第三次産業のキラーコンテンツとも言える「イメージ」や「ロマン」を傷つけかねません。
イメージやロマンに高いお金を出してきたクライアント(ファン)はがっかりした方も多いのではないでしょうか。
大塚家具の時も今回も、ビジネスの識者から様々な意見が出ています。
しかし、いずれの出来事も、視点を変えると他人事ではありません。
実はいずれも新旧ビジネスモデルの対立でもあるのです。
一度確立されたビジネスモデルを時代の流れの中で拡張することは経営のセオリーです。
特に現代社会ではビジネスモデルのサイクルが早いのです。
企業の安定成長の実現にはビジネスモデルの見直しや拡張は欠かせないのです。
しかし、新旧ビジネスモデルの立役者同士に感情的な問題が起こりやすいのも事実です。
文字通り共闘しなければ損をするだけなのですが、なぜこのようなお家騒動が起こるのでしょうか。
アイドルグループ解散騒動を手がかりに、この問題のキーワードである「優越の錯覚」と「創造的協調性」について一瞬で分かる解説、名付けて「瞬説!」で考えてみましょう。
<b>新ビジネスモデル</b>
この20年、男性アイドルも女性アイドルも歌って踊るだけではなくなりました。コントやお笑いにも顔を出し、知性や機転が求められるトーク番組、待ったなしの緊張感あふれる舞台や芝居、果ては情報番組やスポーツ番組のキャスター…エンタテイメントのあらゆる分野で時にその道のプロを押しのけて活躍しています。アイドルのマルチタレント化です。
歌って踊るだけだと、華がある時代は限られます。結果的に世代交代のサイクルが早まります。投資しても回収期間が短い、いわば時限ビジネス的なところがありました。
しかし、マルチ化するとさまざまな活動の相乗効果で華が枯れません。回収期間も長くなり、世代交代のコストも抑えられるのでアイドルビジネスの成功対価は飛躍的に大きくなりました。アイドルのマルチ化は、もともと巨大だったアイドル市場をさらに巨大化させたと言えるでしょう。これが新ビジネスモデルです。
<b>旧ビジネスモデル</b>
一方で、マルチ化させようにも基になる人材がいなければ何もできません。人事の発掘育成が欠かせません。また人材にいいイメージやロマンといった付加価値を着け、それを維持するシステムも欠かせません。旧ビジネスモデルはこの発掘育成から付加価値創造を最大効率化したビジネスモデルと言えるでしょう。
<b>新旧立役者の葛藤</b>
往々にして、新ビジネスモデルは旧ビジネスモデルに立脚したものです。旧ビジネスモデルの立役者はここに誇りを見出します。一方で新ビジネスモデルの立役者は旧ビジネスモデルの限界を超えたことを誇ります。それぞれにそれぞれの誇りを持つのです。
価値観の問題になりますが、双方の誇りが実績の伴うものであれば「正しい誇り方」と言えるでしょう。しかし、ここで厄介なマインドが発生します。「自分のほうが上だ!」という「優越の錯覚」です。特に新旧ビジネスモデルが融合してうまく行っている時ほどこの錯覚は拡大するのです。そして自分の優越性を誇るために相手をディスり始めるのです。どちらかでも自分の優越性を譲れないと、せっかくうまく行っている中での内輪もめに発展するようです。
<b>創造的協調性のススメ</b>
ここで企業を安定成長させるために必要なマインドは何でしょうか。私は「創造的協調性」を育てることをオススメしています。
ここで言う協調性とは「相手を許せること」です。往々にして完璧なビジネスモデルはありません。欠点や限界があります。しかし、うまくいっていると立役者はそれを過小評価してしまうのです。
実は人は本能的に自分を誇りたいように設計されています。なので、自分のビジネスモデルの成果に目を向けて、限界やリスクから目をそらすのです。一方で相手の限界やリスクはよく見える…。こうしてお互いにディスり合うことになるのです。こうなるとせっかくうまくいった新旧ビジネスモデルの融合も危機に晒されます。
大事なことは、自分は自分を誇りたいし、相手は相手で自分を誇りたいのだ…と、相手の誇りを許してあげることです。それぞれで誇っていればいいのです。相手が自分を口撃する時もあります。そんな時は悔しいものです。ですが、「私をディスって成功を確認したいのですね…お好きにどうぞ」と許してあげましょう。これが私の提案する創造的協調性です。
新旧ビジネスモデルの融合はあらゆるところで増々重要になるでしょう。その中で感情的な問題でビジネスそのものを危機に晒すのは避けたいものです。人は感情の生き物なので、ディスられると腹が立つものです。ですが、ビジネスモデルをリードするビジネスリーダーであればこそ、創造につながるマインドを育てたいものですね。