5-httplrSS型と負の強化:マクドナルドの業績不振に学ぶ,日本人の不安遺伝子とビジネスモデル

yahooニュースさまに以下の記事を執筆させてもらいました。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

要約すると、日本人の多くは不安遺伝子を持っているので、「食の安全」を積極的に売らない経営戦略は今の日本には合わない…というものです。

まるで、この記事を裏付けるかのように、日本の若者がマクドナルドを避ける傾向が著しくなったことを示すデータも報道されました。

biz-journal.jp

 

yahooニュースでは詳しく書きませんでしたが,ここでは不安遺伝子の詳細をご紹介しましょう。

 

5-httplr遺伝子というものがあります。この遺伝子はセロトニンという物質の代謝に影響しています。セロトニンの代謝は私たちの感情に影響しています。詳しく書くとややこしいですが,まあ,セロトニンが豊富だと感情はポジティブに,乏しいとネガティブになると思ってもらえればOKです。

 

そして,5-httpr遺伝子はLL型,LS型,SS型という3つの多型があります。

より正確にはL遺伝子にさらに多型があるので,20以上の多型になるわけですが,まあ,概ね3つと考えていただければOKです。

 

日本人の6割から7割はSS型を持つわけですが,SS型はセロトニンが乏しくなりやすいのです。

つまり,日本人の多くは不安になりやすく,不安を避ける事が行動原理になるのです。

不安が小さくなる行いを繰り返すようになることを心理学では「負の強化」と呼びます。

マクドナルドは「食の安全」を積極的に売ろうとしないので,いつまでも不安が払拭されません。異物混入などへの対応も,一部では「開き直り」とも揶揄されるような弁明では,「この人達が提供するものは安全だ!」と思わせてくれません。

 

日本人の多くに「マクドナルド=食の不安」というイメージが着いてしまったので,「マクドナルドを避ける=不安を避ける=安心」という負の強化が生じているように思われます。

 

商売をするなら,消費者を理解することは基本中の基本です。

マクドナルドのビジネスモデルは確かに一時代を築きました。

熱心なファンも獲得しました。

しかし,時代は変わりました。

テレビでもwebでも,過去のビジネスモデルに基づいたマクドナルドの広告を見るたびに虚しくなります。

もう終わったビジネスモデルに固執するのではなく,消費者を見ていれば再建も出来たはずなのに…と残念に思います。