【プチ半沢直樹のススメ】倍返し!コロスイッチと恨みのパワーその1

KeyWord:ダークヒーロー,金融不信,恨み,父,甘え

本文中の写真はドラマとは何の関係もありませんが,ドラマ半沢直樹,大評判ですね!

マンガちっくで飽きさせない演出,敵味方をわかりやすくした大胆な設定,骨太な役者陣などが高く評価されているようです。

しかし,人気の秘密はそれだけではないでしょう。
根底に流れる人類普遍の「物語性」と時代にマッチする「時の共感性」がなければ人を惹きつけるTVドラマにはなりません。

このテーマでは心理学を通して,

ドラマ半沢直樹が人を惹きつける秘密,
人としての半沢直樹の魅力と狂気,
そして半沢直樹を通して私たちが何を学ぶべきなのか,


を解き明かし,
私たちが「人」を理解する手がかりを提供します。

まずは,時代が求めるダークヒーローとしての半沢直樹に焦点を当てます。

$心理学研究者/心理療法家 杉山崇教授のブログ『日々感謝です。』

なお,ドラマと無関係の写真は,音の巨匠・日経・木代氏(左)に誘っていただいたNatsumeroPiccadillyというプロジェクトで,ちょっとダークなアーティストを気取ってみました。(右)
ダークになっているでしょうか?


【ダークヒーロー半沢直樹

まず目を引くのは,あまりにも非英雄的な性格と自伝的記憶です。
もっと尖った言葉を使えば,“歪んだ”人物です。

役者さんの雰囲気力でカッコいい歪みになってますね。
でも,もっと違うビジュアルだったら…と想像してみてください。

ドラマの雰囲気とは違う半沢直樹が見えてくると思いませんか?

血気盛んで個人的な執着心が強く不寛容。
その原動力は「やりかえす!」
そう,「恨み」です。


人間には恨みを原動力に行動する「恨みエンジン」があるのですが,
半沢はこのエンジンで動いているのです。

そして,その原点は彼本来の気質と父親の自殺という子ども時代の経験にある…。

そう,いわゆる闇から生まれたダークヒーローです。

本当にダークなだけの悪役と違うのは善人や弱者に対して「誰が見ても悪いこと」をしないことだけです。

【恨みエンジン】

実は,このような性格と自伝的記憶の歪みは誰もが潜在意識に持っているものです。

世の中でそれを展開するとさまざまな社会的摩擦が生まれるので,みんなうまく抑制したり昇華(消化)したりしているんです。
実際,そう出来る機能が人の心と脳にはあります。

しかし,半沢直樹は違います。

「やられたらやりかえす。倍返しだ!」と,
誰もが潜在意識に留めているものを大胆に展開するのです。

恨みエンジンで動くことは文部科学省的には推奨されません。
道徳教育は上手な恨み方は教えてくれません。
普通は友人・知人にも,恋人にも引かれます。

でも,みんなの中に確かにあるのです。

恨みエンジンをフル稼働させて結果に結びつける半沢を見ていると爽快ですね。

特に,恨みエンジンを強制停止して窮屈に感じている人々には大いなる爽快感を与えてくれることでしょう。


下手に真似すると大変ですが(次回以降の投稿で詳しく扱います),
上手に真似できると,私たちはもっと生きやすくなるかもしれませんね。

次回は,【ダークヒーローは闇から生まれる】,【金融不信という闇】,などを投稿します。