妻に熟年離婚をされて悔しい思いをしないために‐熟年離婚される夫、されない夫‐妻づきあいの経営術
長年連れ添った妻が、当たり前のように一緒にいてくれた妻が、自分を理解してくれていると思っていた妻が、ある日、突然あなたに「離婚届に判をくれ」と突きつける…。
こんな悔しい思いをする中高年男性が増えています。
「人づきあい」ならぬ「妻づきあい」に失敗があったのでしょうね。
気づかないうちに、「下手な妻づきあい」をしていたのかもしれません。
こんな不幸を誰にも経験してほしくないので、人間関係が上手くなる秘訣を本にしてみました。
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怪しげなタイトルですが(笑)、中身は心理学者仲間からも好評です。
今回は、熟年離婚に焦点を当てて、人づきあい、いえ妻づきあいのポイントをご紹介しましょう。
まず、熟年離婚はドラマの話ではありません。
実はこの40年で20代、30代の若い世代の離婚率は30%弱減少している一方で、60代夫婦の離婚率は2倍強に増えています。
とはいえ、60代離婚率は5%ですので、「あの人も、この人も…」という状況ではありません。しかし、あなたに20人知り合いがいれば1人は熟年離婚を経験するという計算になります。
そして熟年離婚のほとんどは、妻から切り出しています。タイミングは夫が定年退職して退職金が入って間もなくということが多いようです。もちろん、退職金が入る前に離婚しても退職金の分与は求められるわけですが、何かと手続きや交渉がややこしいので退職後の数年以内に離婚が集中するようです。
ご主人は「まさか、うちの家内に限って…」と油断していた方がほとんどです。ご主人はいったい何を間違ってしまったのでしょうか。
実は人間関係は3角形で考えることができます。社会心理学ではABXモデルと呼ばれる考え方です。熟年離婚で説明すると、Aがご主人、Bが奥さま、Xは共通の関心ごとです。Xに対して、AとBの態度が一致していると関係は良好です。
たとえば、Xがお孫さんなら、「孫かわいいねえ!!」と一緒に盛り上がれれば関係は良好になるわけです。同じく、Xがめんどくさいご近所づきあいなら、「○○さんとからむの本当に疲れるねえ…」と負担感を共有できる場合も関係は良好です。
このように態度を共有できるXがたくさんあれば夫婦関係は良好です。60代ご夫婦であっても、二人の5年後、10年後という未来につながるようなXがあるとさらに関係は良好になるでしょう。
一方で熟年離婚に至るご夫婦の多くは、ご主人が興味を持っているXと、奥様が興味を持っているXがずれていることが多いようです。そして、ご主人の多くは自分のXへの態度を妻が共有してくれていると思い込んでいることが多いようです。ご主人の頭の中だけで「良好なABX」という幻想が成立していたのですね。この場合は、奥さまは自分のXを共有してくれる他の誰かを求めていきます。
こうして、離婚の理由としては
「価値観が合わない(Xがずれているから当たり前)」、
「他に好きな人ができた(Xを共有してくれる人に惹かれるのも当たり前)」、
「性格の不一致(これもXがずれているから当たり前)」、
「会話がない(Xがずれると会話が気まずくなる)」、
「主人のモラハラ(ご主人のXへの態度を押し付ける)」、
となるわけです。
「妻に裏切られた!」と悔しい思いをする前に、できることはあるはずです。高齢男性の独り身は何となくみじめで寂しく、そして寿命も短くなりやすいと言われています。
「長年連れ添ったから…」と油断せずに、日ごろから奥さまの関心ごと「X」を理解して、良好なABXをキープできる家族経営を心がけましょう。できる男は仕事だけではなく、家族経営もうまいものなのです。
日々仕事に追われていますが、わたしもがんばっています!!!
うつ病と幸せの真実と対策-感情と人間関係の認知行動療法-
10月に名古屋の中日文化センター栄校さまで「うつ病の心理科学的な真実」を紹介する講座を開くことになりました。
心理科学から「うつ病」を見ると、よく医学の視点から発信されている「うつ病」とは異なるものが見えてきます。
「うつ病」を研究して20数年ですが、その間に私自身も患いました。
20年前、日々、うつ病の患者さんのお気持ちを全力で考えていたら、いつの間にか引っ張り込まれてしまいました…。
当時、医療関連の現場で働いていたので、意地で絶対に受診はしませんでしたが、診断基準はほとんど満たしていました。
辛かったですが、この経験が私の心理療法と社会心理学そして記憶心理学の研究にすごく活きています。
人生いろいろ、「うつ病」もいろいろ…ですが、うつ病にならないと見られない世界があることも知りました。この世界だけは「うつ病」の人ならみんなが見ている共通点でしょう。
その世界は決して病的なありえない異世界ではなくて、この世界のもう一つの真実です。
真実を見ることはつらくて恐ろしいことですが、うつ病になると見えちゃうんですよね…。
ご一緒に「うつ病」の真実を手掛かりに「幸せ」について考えてみませんか?
講座では、受講者のみなさまと語り合う時間も大事にしたいと思っています。
日程などは、下のページから見ていただけると幸いです。
内容は以下の通りです。
1. 心には『うつ病アプリ』が備わっている
2. 若い人の『普通』のうつ病
3. メランコリックなうつ病
4. 女性特有のうつ病
5. 新型うつ病とパーソナリティ
6. 日本人とうつ病
人づきあいは気まずくて当たり前:気まずさを消す絶対法則シリーズ2
「気まずい」人とは、もう会わない
ところで人づきあいでで「気まずさ」を感じた時、実際のところあなたはどうするでしょうか?何を思い、どう振る舞うでしょうか?
相手があなたにとってどうでもいい人(表現は悪いですが、たとえとして)の場合は、もうその相手と会いたいと思わないでしょう。
だって、どうでもいい人なのですから。そもそも会うことに生産性はありませんよね。さらに、会っていても気持ち良くない。まったくもって無意味ですよね。
「もう、この人とアポ入れるのはやめよう」「なるべく関わらないようにしよう」と、今後のお付き合いはない…という方向に傾くでしょう。
「気まずさ」はお近づきになりたいあの人を遠ざける
一方、あなたがお近づきになりたい、今後関係を発展させたい…と願っている相手ならどうでしょうか。
たとえば、あなたを素敵な気分にさせてくれる異性、もしかしたら重要なロマンティックパートナーになるかもしれない異性、そんな人と「気まずさ」を感じたらいかがでしょうか。
あるいは、あなたの重要な顧客になるかもしれない、あなたのビジネスを発展させる大きな出会いになるかもしれない…。そんな相手との間に気まずさを感じたら、どうですか?
多くの人はここで「やばい」と感じるようです。素敵な関係を築けるチャンス、あなたのビジネスが発展するかもしれないチャンス、それを逃すことになるわけです。
嫌ですよね。チャンスを逃すのは。チャンスを逃さないために手を打たなければなりません。
ですが、ほとんどの人はここで焦ります。
なぜなら、あなたが「気まずさ」を感じているということは、おおむね向こうも感じているからです。ということは、相手があなたとの関係が生産的だという魅力を強く感じていない限り、今後のお付き合いはない…というカテゴリーに格下げされたかもしれないからです。
「格下げ」されて狼狽えて…
「 自分が格下げされたかもしれない」…という状況は人のネガティブな感情を刺激します。そして、手立てがない…となるとあなたを狼狽えさせるのです。
こうなるともう最悪です。狼狽えるあまり、「気まずさ」ますます拡大することしかできなくなるのです。相手が興味ない無意味おしゃべりで場をつなぐ…、言葉を失ってさらに気まずい沈黙が続く…、相手の表情が明らかに「心ここにあらず」状態…。
どのパターンもチャンスを逃すことになるでしょう。
そう、「気まずさ」がきっかけになって、チャンスが手元から逃げ落ちるのです。こんなのは嫌です。なにかいい処方箋はないでしょうか。
「気まずさ」の消し方を知ればいい!
答えは簡単です。「気まずさ」の消し方を知っていればいいのです。
そもそも、「気まずさ」は人間関係に付きものです。新しい関係ならお互いにお互いを探り会わなければならないので、なお更です。なので、少々の「気まずさ」は、本来は気にする必要はないのです。
まずは
“人づきあいは少々の「気まずさ」があって当たり前…”
と覚えておいてください。
当たり前のようにあるものですから、ちょっとしたコツで当たり前のように消すことができます。
Part3ではそのコツを理論化した社会心理学モデルをご紹介します。
拙著、発売『読むだけで人づきあいが上手くなるー 「気まずさ」が消える心の絶対法則』
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心理学研究の再現率はなぜ低い?誤差変数というステルス性能の高い「やられ役」
心理学徒にとってはいささか寂しい結果が公表されました。
この結果に関しては、いろいろと思うところがある心理学徒は多いと思います。
この数字だけが独り歩きして世の中から「心理学は信用ならへんでえ」となってゆくのではないか…とちょっと心配しています。
まあ、この数字だけをみるとそう思わざるを得ないところもあるわけですが、「そこまで疑わんでもええやん!」という筆者なりの感想を書いてみました。
まず、筆者は追試研究の重要性を再認識したわけですが、それ以上に「研究とは誤差変数との戦いなり」という問題もあたらめて実感しました。
心理学研究では本当に些細なことでも誤差変数(想定外の結果に影響を与える要因)になりえます。
筆者の経験上、論文には記載されていないが影響しそうなものとしては(あくまでも筆者の印象です。エビデンスはありません…笑)
・実験者が研究参加者を迎え入れるときの表情や雰囲気、
・実験室の雰囲気(明るいか、暗いか、真新しいか、古めかしいか)、
・椅子の固さ、座り心地の良さ
・前後に世の中を騒がしているニュース(たとえば、日本なら311の前後では世の中のマインドが大きく違う)
・質問紙の項目順序(これだけで結果が変わることも…あなどれない!)、
・質問紙の紙質(真新しくてきれいな紙質だと丁寧に回答しなきゃ…という気になる人も)、
・質問紙と一緒にチョコレートを配ったかどうか(回収率が激変!!)
・ソーシャルスキルフルに丁寧にお願いした場合と機械的にお願いした場合には欠損値の量が違うような印象が…
・調査説明者がはつらつとしているか、好感が持てるか…。
・研究者が気づいていない、または合理的に違いを説明しにくい些細な属性の違い…たとえば、学生を対象にした調査研究なら、中だるみした学期の中期は比較的熱心または勤勉な学生が回答者(出席)に多いが、緊張感のある初期・末期は不真面目な学生も比較的よく出席している。果たして回答者の属性は同じと言えるのか否か?…。
などなど、誤差変数と疑惑がありそうなものを言い出せばきりがありません。
こいつらは、特撮ヒーローでいえばやられ役の戦闘員並みにごちゃごちゃ邪魔してくるわけです。
たちの悪いことにステルス性能が高かったりもします。研究者は不意打ちを食うわけです。
また、検証実験チームを疑うわけではありませんが、「絶対に再現するぞ!」という意気込みがあったかなかったかも実験者効果として影響したかもしれない。
などなど、疑い出せばいくらでも出てきますね。
そうです。これが誤差変数なのです。
人は本当に複雑で繊細な情報の収集・処理システムなので、わずかな違いにも敏感に反応するんですね。
でまた、心理学研究の多くは検証手続きに推測統計的な処理を用いるので、チャンスレベル(偶然、統計的有意になった、または有意にならなかった)という問題も抱えています。
偶然有意になった研究がどの程度公表されているのかわかりませんが、こういう研究は検証すればするほど「違うよね!」と確認されていくわけです。
この問題は追試研究を盛んにすることで解決できるので、対策があるわけですが、誤差変数の統制は研究者のセンスや細かい配慮にも依存しているわけです。
というように、心理学研究がそもそもが砂漠で砂金を探すようなミクロの攻防戦をやっているわけなので、細かい誤差変数のことは研究論文には書ききれませんし、研究者も知覚できていない場合もあります。
という状況を考えると、検証チームが全力で再現に取り組んだという前提の下でも、誰も気づいていない誤差変数がごちゃごちゃ邪魔していた中ではそう悪くない再現率だったのかもしれません。
このへん、研究法に詳しい先生方、いかがでしょうか。
オリジナルと同じ研究者が同じ環境で再現事件をすると再現された…という場合もあるかもしれませんし。
なので、この数字だけが独り歩きして安易に「心理学は信用ならへんでえ」などとなることだけは避けていただきたい。
心理学研究が信用できるか否かは一心理学徒である筆者が語るべきではないと思いますが、一般の皆さんには、このような誤差変数との戦いの中で研究者は真実を求めて戦っているということをお知りおきいただければ嬉しいです。
心理学研究を信じるか信じないかはあなた次第です!…とはならないように、私もがんばります!!